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ヒメジョオン(姫女苑) キク科|ムカシヨモギ属

ヒメジョオン
撮影日:2009年6月29日|場所:千葉県習志野市秋津

6月頃から9月ころまで、空地や道端などで小さな白い花をつけた背の高い草を見つけたら、ほとんどこのヒメジョオンです。
北アメリカ原産の帰化植物で、繁殖力が強く、空地や草地、土手など、いたるところに群生しています。
ヒメジョオンは、秋に芽生えてロゼット状で冬を越し、初夏から夏にかけて花茎を伸ばし開花します。
非常によく似た花に「ハルジオン(春紫苑)」と言う花があり、なかなか見分けがつきません。
私も最近までは、どっちかわからなくなることもありました。咲いている場所で、よくよく観察すればすぐわかるのですが、写真だけで判断する時は間違えることもあります。

<2011年6月16日>

■ヒメジョオンとハルジオンの見分け方

今度、このヒメジョオンの解説を書こうと、これまで分類してあった写真を見直してみると、ヒメジョオンの分類の中に、ハルジオンがかなり混じっていました。
おそらく撮影した時期だけで、何の疑いもなく分類したのでしょう。
見分け方のコツとして一番確実なのは、茎を切ってみて中が空洞ならハルジオン、詰まっていたらヒメジョオンなのですが、これは現場にいるからこそできることで、写真ではどうしようもありません。
私の見分け方としては、

(1)花の咲く時期
それぞれの花期は、ハルジオンは、3月下旬頃から6月上旬頃まで、ヒメジョオンは5月下旬頃から9月下旬頃までとずれているので、まずそれを基準にします。7月以降に撮影したものは、まずヒメジョオンと思って間違いありません。
ところが、今度写真を整理してみると、7月に撮影し,ヒメジョオンだとばかり思っていた花が、実はハルジオンだったのです。
下の写真、左が2009年6月29日に撮影したヒメジョオンで、右が2009年7月11日に撮影したハルジオンです。どこで判断したかと言うと、右のハルジオンは、舌状花が細く数が多い、葉が茎を抱いている、というところです。これは、ハルジオンの特徴なのです。
これによって、開花時期による判断は、必ずしも正確ではないということがわかります。

ヒメジョオン ▲6月に撮影したヒメジョオン。   ハルジオン ▲7月に撮影したハルジオン。

(2)蕾と花
図鑑などには、ハルジオンの蕾は下を向いている、と言うことが書いてあり、事実そうなのですが、ハルジオンの蕾にも下を向いているものがあります。
下の写真は、左がヒメジョオンで右がハルジオンですが、どちらも蕾が下を向いています。
蕾が下を向いているからと言って、ハルジオンであるとは言えないようです。それではどこが違うのか。
この写真をよく見るとわかりますが、花弁(舌状花といいますが)が、右のハルジオンの方が細く、数が多いのです。
これは、かなりの決め手となります。
その他、花でいえば、ハルジオンは少しピンクがかっているものが多いということ、花の大きさは、ハルジオンの方が若干大きいこと(見慣れていないとわかりません)、1本当たりの花の数が、ヒメジョオンの方が枝分かれが多く花の数も多い、といった違いがあります。

ヒメジョオン ▲舌状花の数が少ないヒメジョオン。   ヒメジョオン ▲舌状花が細く、数が多いハルジオン。

(2)葉のつき方
上の、「(1)花の咲く時期」の写真でもわかりますが、ハルジオンの葉は、茎を抱くようにつきますが、ヒメジョオンは茎を抱きません。
また、葉の縁がヒメジョオンは鋸葉状になっているものが多いのですが、ハルジオンはちょっと波打っているものが多いようです。
この葉の付き方も、まず、間違いなく決め手となります。

ハルジオンかヒメジョオンかを判断する場合、私はまず、花の舌状花を見て、それから葉を見ます。


 
コマツヨイグサ・メモ
■ヒメジョオンの特徴
ヒメジョオン ▲舌状花と筒状花。
ヒメジョオンの花に見えるのはキク科特有の頭状花序で、大きさ約2cm、舌状花と中心の黄色い筒状花で構成されています。
舌状花の色は、ほとんど白色ですが、たまに淡い紫がかったものもあります。
茎の下の方の葉は、卵形で長い柄があり、鋸歯状、上部の葉は披針形で先がとがっています。
ヒメジョオン ▲背が高く群生する。
背丈は50〜120cmほど。荒れ地や空地、土手、道端など、どこにでも繁殖します。
茎は上の方で数回枝分かれし、それぞれの先に花をつけます。