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イワイチョウ(岩銀杏) ミツガシワ科|イワイチョウ属

ヤマハハコ
撮影日:2008年7月2日|場所:山形県鶴岡市月山弥陀ヶ原

この写真は、7月2日、月山の山開きの日に撮ったもので、ところどころにまだ雪が残っているときでした。数年前に月山に登った時は、8月13日でしたが、イワイチョウがあちこちに咲いていました。月山の弥陀ヶ原は、雪が無い期間は、約4カ月ほどですから、それから考えると、この花の花期は、かなり長いといえるようです。
イワイチョウといっても、岩場に咲いているわけではなく、湿原や沢など、水辺に咲く花です。
葉の形が独特で、ふきの葉を小さくしてつやを出したような感じで、縁はぎざぎざした鋸歯状になっています。
イチョウの葉のように見えるのでイワイチョウと言う名前になったといわれていますが、イチョウの葉にはあまり似ていません。
花も独特で、花弁は五裂し、縁にはしわが寄ってひらひらした感じになっているところが特徴的です。
花には柱頭が長く雄しべの短い長花柱花と,雄しべが短く柱頭の長い短花柱花があるようで、自家受粉を避けるためのもののようです。
また、イワイチョウは、イワイチョウ属なのですが、この属には、この花一種だけの変わった植物で、北アメリカと太平洋をはさんだ南千島、日本の中部以北(日本海側)に分布しているというのも、ちょっと不思議です。


<2011年7月27日>
葉の形が、何かに似ていると思っていたのですが、ハマヒルガオの葉に似ていることに気が付きました。
ちょっと分厚くて光沢のあるところや葉脈の感じなども似ています。ただハマヒルガオの葉には、縁にぎざぎざがありません。
海と山で、同じような形の葉を形作っているというのも不思議です。

イワイチョウ ▲イワイチョウの葉。   ハマヒルガオ ▲ハマヒルガオの葉。

<2011年7月27日>
また、柱頭と雄しべの関係が気になったので、手持ちの写真を調べて見ると、ほとんどの花は、柱頭が短く雄しべが長かったのですが、数枚だけ、柱頭の長い花が見つかりました。

イワイチョウ ▲柱頭が短く雄しべが長い花。   イワイチョウ ▲柱頭が長く雄しべが短い花。

 
イワイチョウ・メモ
■イワイチョウの特徴
花茎の高さは20〜30cmほど、茎の先に白い花を数個、集散状に付けます。
花期は、6月下旬から8月下旬頃まで、花の大きさは、1.5〜2cmほどで、深く五裂し、花弁の中央には縦のひだがあり、縁には波状のしわがあります。
花には、柱頭が長い長花柱花と柱頭が短い短花柱花があります。
葉は、厚い腎臓形。葉の中央が少しへこんでいて、縁は鋸歯状になっています。
秋には黄色く紅葉するので、ひょっとすると、名前の由来は、葉の形からではなく、葉の色からなのかもしれません。
そう考えると、黄色くなったイチョウの葉が地面に散っているように見えなくもありません。
イワイチョウ ▲特徴的な花。
イワイチョウ ▲分厚くつやのある葉。
■高山の湿地・水辺に群生
月山の弥陀ヶ原に咲いているイワイチョウは、足がぬかるむような湿地や、池塘の水辺などに群生しています。
花が咲いていなくても、その特徴的な葉ですぐに見つけることができます。
イワイチョウ ▲池塘の水辺に群生しているイワイチョウ。
イワイチョウ ▲木道沿いの湿地に群生しているイワイチョウ。