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タチアザミ(立薊)か? キク科|アザミ属

タチアザミか
撮影日:2003年8月16日|場所:山形県鶴岡市月山弥陀ヶ原

アザミの花は種類が多く、なかなか区別がつかないのですが、この花は、ずっとナンブタカネアザミだとばかり思っていました。と言うのは、月山のアザミと言えば、ナンブタカネアザミだからです。
ナンブタカネアザミは、南東北地方の日本海側の高山地帯にしか分布していない植物で、飯豊山、西吾妻山、朝日岳、月山、栗駒山の開けた草地に分布しているといわれています。
ところが、この写真の花は、花だけ見ればナンブタカネアザミそっくりですが、葉が全く違うようなのです。
ナンブタカネアザミの特徴として、「茎の高さは50cmほどになる。茎には白い毛が密生し、茎葉の基部は茎を抱き、葉の切れ込みが深く、とげが鋭い。(Wikipediaより抜粋)」となっています。
これをこの写真に照らし合わせて見ると、まず、「茎の高さは50cm」どころか2メートル近くになるものもあります。
「茎には白い毛が密生」していません。「茎葉の基部は茎を抱」いているようにも見えません。
「葉の切れ込みが深く」なく、どちらかと言えばほとんど切れ込みはありません。
「とげが鋭い」とは言えないでしょう。棘らしきものはほとんど見当たりません。
これだけ違えば、これがナンブタカネアザミでないことは明らかです。
それでは何か。
まず、この花を撮った場所は、月山8合目(海抜1600メートル程度)の中の宮付近の登山道で、日当たりのよい開けた草地です。
背の高さは、ほとんどが1〜1.5メートルで、高いものは2メートル近いものもあります。
茎は枝分かれが少なく、ほとんど真っすぐで、先端に3〜5個の花を上向きに付けています。
特徴的なのは葉で、大きいものは15〜20cm、楕円形で、ほとんど切れ込みがなく、縁は鋸歯状になっています。
上の花の近くの葉には棘のあるものもあるようですが、ほとんど棘はありません。
これは、タチアザミの特養に似ているようです。「茎の高さは1-2mになる。茎につく葉の基部は半ば茎を抱き、葉は深く裂けこまないものが多い。(Wikipediaより抜粋)」。
アザミ属の同定は非常に難しいようで、「タチアザミ」でネットで調べて見ても、どれも写真はまちまち、信頼できるものがありません。
というわけで、この花は、「名称未定」と言うことにしておきます。


 
「名称未定」の花・メモ
■「名称未定」の花の特徴
「名称未定」の花
花の大きさは直径3〜4cm、筒状花のみで構成されていて、色は紫色。
総苞は2〜2.5cmの椀状または釣鐘状で、総苞片は針状で上に向かってまっすぐ伸びています。
葉は、上の方では少し細くなっていて、棘の生えているものもありますが、下の方の葉は、幅7〜10cm、長さ15〜20cmほどの、先のとがった楕円状で、棘はなく、切れ込みもありません。
葉の根元は僅かに茎を抱いているようです
葉の縁は不規則な鋸歯状で、先のとがった柔らかい棘の名残の様なものが残っています。
「名称未定」の花 ▲切れ込みのない楕円形の葉。
= ▲まっすぐで背が高く、群生している。