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スカシユリ(透百合) ユリ科|ユリ属

スカシユリ
撮影日:2006年7月9日|場所:千葉県大東海岸

数年前、何か花の本で、千葉県の大東崎の近くにスカシユリの群落があるということを知り、暑い中を外房線に揺られ、てくてくと歩いて写真を撮りに行ったことがあります。上の写真がその時のものです。
スカシユリは、地方によっては絶滅危惧種に指定されている花で、どんどん減っている花のようです。
このスカシユリが咲いている海岸は、大東海浜植物群落地と呼ばれ、大正9年に我が国最初の天然記念物指定地とされたところのようですが、波の浸食などによって、今はその面影はほとんどなくなったようです。
それでも、海岸沿いおよそ100メートルほどの間の草地に、鮮やかな橙色の花を空に向けて、スカシユリがたくさん咲いていました。
それから2年後の夏、庄内に帰省した時に、思いもかけない場所で、このスカシユリに出会いました。
鶴岡の加茂水族館にクラゲを見に行き、水族館の屋上で休んでいた時に、目の前の加茂の灯台がある山の崖に、点々と橙色の花が咲いているのを見つけました。
遠くて目で見ただけでは何の花かわからなかったのですが、望遠レンズで撮影してみて、スカシユリだということがわかりました。
下の写真の下2点がそれです。花弁の付け根のところに隙間が開いているのがよくわかります。
ネットで調べて見ると、「スカシユリは中部地方以北の海岸の砂礫地や崖、岩場に生育する。個体群が地理的に隔絶されており、地域型として、太平洋岸に分布する個体群と、日本海岸に分布する個体群に分けられる。太平洋岸の個体群をイワトユリ、日本海岸の個体群をイワユリと呼ぶ場合がある(Wikipediaより)」と書かれていました。
偶然とはいえ、私は両方の個体群を撮影したことになりますね。


<2011年9月2日>
下の写真の、上2枚は、2006年7月9日に、千葉県外房の大東海岸で撮影したもの。下の2枚は、2008年7月1日、山形県鶴岡市の加茂の灯台の崖に群生していたスカシユリを撮影したものです。

スカシユリ ▲大東海岸のスカシユリ。   スカシユリ ▲大東海岸沿い、幅約100メートル、奥行き20〜30メートルの間の草地に、点々と咲いています。

スカシユリ ▲山形県鶴岡市の加茂灯台の崖に群生していたスカシユリ。   スカシユリ ▲加茂の灯台は高さ20メートル前後の岩山の上に立っていて、岩山の周りは、昔は磯釣りのメッカでした。

 
スカシユリ・メモ
■スカシユリの特徴
スカシユリ
日本海側では北陸地方以北の海岸の崖や草地に生育し、花期は5〜6月、太平洋側では中部地方以北の海岸の崖や草地に生育し、花期は7〜8月となっているようです。
背丈は20〜60cmほど、葉は葉柄のない披針形で互生し、茎の先に数個の花を付けます。
花は直径10cmほど、ラッパ状で、花弁の根元に隙間があり透けているために、「透かし百合」と呼ばれたようです。
花は上を向いて咲き、花の色は橙色、花弁には赤褐色の斑点があります。
スカシユリ ▲灯台のある岩山の崖に群生するスカシユリ。