ハマユウ(浜木綿)

ヒガンバナ科|ハマオモト属
ハマユウ
撮影日:2009年7月11日|場所:葛西臨海公園
アフリカハマユウを撮影した日に、同じ葛西臨海・海浜公園で撮影したハマユウです。
ハマユウもアフリカハマユウも鉢植えなどになっていたりするので、野草として紹介するのは少し抵抗感があるのですが、とても変わった花なので調べてみることにしました。
ハマユウ(浜木綿)という名は、音の響きといい、漢字の見た目といい、とても上品で素敵な感じがします。花の名前の由来は、花の形から来ています。
ウィキペディアによれば「花の様子は、コウゾなどの樹皮を細く裂いて作った繊維から作った布と似ており、神道神事で用いられる白い布をゆう(ゆふ)と呼ぶ」ということだそうです。
肉厚で長い葉がオモト(万年青)に似ることから、別名ハマオモトとも言います。
直立した太い茎の上に、ひとつの蕾のような苞を形成し、やがてその苞が破れて垂れ下がり、中から十数個の蕾が現れ白く細長い花を開きます。その花の形が神道神事で用いられた白い布(ゆふ)に似ているというわけです。
「ゆふ」というものを実際見たことはありませんが、花の形を見るとなんとなく納得してしまいます。
ハマユウ
▲一株のハマユウと太い茎の上の苞。
ハマユウ
▲苞のアップ。
ハマユウ
▲苞が敗れて、花の蕾が出現。
ハマユウ
▲十数個の花。
上の写真は苞を付けたところから開花するまで花の状態です。最後の写真の花の蕾を見るとよくわかりますが、短い柄(緑色のところ)に細長い白い6枚の花びらを付けます。 花びらの根元はつながっていますが、その少し先から大きく反って開きます。外側から次々と開いては枯れていき、枯れた花の子房は少しずつ膨らんでいきます。

ハマユウ・メモ

■ハマユウの特徴

南アジアから東アジアの温暖な地域に分布し、日本では、房総半島南部から、九州まで、黒潮に面した沿岸部の砂丘に自生しているようです。

茎には毒があり、食べると吐き気や下痢を催すそうです。

ハマユウ
▲ハマユウの果実

花が終わるとたまねぎのような果実を受粉した花の数だけ付けます。

果実はかなり大きく数が多いため、その重さでほとんどの茎は倒れています。熟すと割れて、丸いコルク質に覆われた種を落とし、その種が波に流されて海上を生きたまま何ヶ月も漂流すのだそうです。
この種子は水がなくても発芽し、砂浜に打ち上げられたあと、雨が降ったときに速やかに根を伸ばし繁殖するということです。

■ハマユウ豆知識

●万葉集に詠まれた浜木綿
ハマユウの群生地として知られる和歌山県新宮市三輪崎の孔島(くしま)という小さな島には、万葉集に掲載された柿本人麻呂の
み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へど 直に逢はぬかも
(葉が幾重にも重なる熊野海岸のハマユウのように、あなたのことを深く深く思っているのに、直接会えないことが残念でならない)
という歌碑が建っているそうです。
ハマユウは、お店の名前などにも多く見られるように、万葉の昔から日本人に愛された花のようですね。そういえばハマユウコさんという女優もたしかいらっしゃいましたね。