ホテイアオイ(布袋葵)

ミズアオイ科|ホテイアオイ属
ホテイアオイ
撮影日:2002年9月15日|場所:山形県鶴岡市
ホテイアオイは子供の頃、金魚やとかお祭りなどで買ってきて、庭の池や金魚鉢などで育てて楽しんでいました。浮き袋がついていて水に浮かび、きれいな薄紫の花を咲かせるので、好きな水草でした。
十数年前の夏、生まれ故郷鶴岡の妹の家に行ったとき、睡蓮の池に数株浮いていて花を付けているのを見て、写真に撮っておいたものです。
ホテイアオイは繁殖力が旺盛で、焼却処分しているということでしたが、その年、池の排水につながっている田んぼの用水路に進出し繁殖しているのを見つけ、とても困っているということでした。
このホテイアオイは、日本には明治時代に観賞用として持ち込まれ、浮き袋のところが布袋様のお腹のようだということで、ホテイアオイと呼ばれ親しまれてきました。
世界の熱帯・亜熱帯地域に分布し、日本では本州中部以南のあちこちで野生化しているようです。
しかし、現在は、その繁殖力の強さから、水上輸送の妨げになったり、漁業に悪影響を及ぼしたり、あるいは腐敗して環境に悪影響を与えるなど世界中で問題になっていて、「青い悪魔」と呼ばれ恐れられています。
国際自然保護連合では、世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれ、日本でも要注意外来生物に指定されています。
ホテイアオイ
▲田んぼの用水路に進出して繁殖。
ホテイアオイ
▲水面全体がホテイアオイで覆い尽くされた溜池。
2007年の9月、仕事で小倉に行った帰り、駅まで近道しようと 、球場の3倍もありそうな金網で囲まれた広い空き地の横を通ったとき、 何気なく金網越しに空き地をを見てびっくり。一面にきれいな花が咲いていて、なんだろうとよくよく見ると、それがホテイアオイで、空き地だと思っていたところは、実は溜池で、水面をびっしりと覆い尽くしていたのでした。
「青い悪魔」と呼ばれるのもうなづけます。

ホテイアオイ・メモ

■ホテイアオイの特徴

沼や川などの水面に浮かんで生育する水草。別名ホテイソウ、ウォーターヒヤシンス。

根元から八方に丸い葉を広げ、その葉柄は丸く膨らんで浮き袋の役目を果たし、水に浮かびます。
根は水中にばらばらと広がり、浮き袋とバランスをとっています。浅いところでは根は直に土の中に広がり、そのとき葉柄の浮き袋はしぼんだ状態になります。
花期は夏で、葉の間から花茎を高く伸ばし、ひとつの花茎に数個から十数個の大きな薄紫の6弁の花を付けます。

ホテイアオイ
▲池で栽培されているホテイアオイ

花が終わると花茎は曲がって先端を水中に突っ込み、水中で果実を育てます。

熟した果実は、水中で種子をばら撒き、水の流れに乗せて拡散します。
また、それとは別に茎から水平に枝を伸ばし、新しい小さな株を作って仲間を増やし、大きな集団を作っていきます。
まさに最強の繁殖システムですね。

■ホテイアオイ豆知識

●米国のホテイアオイは日本生まれ?
アメリカでは日本以上にこのホテイアオイには悩まされいるようですが、アメリカのホテイアオイは、日本から持ち込まれたという説があるようです。
1884-5(明治17-18)年にニューオリンズで開催された見本市に、日本政府がブースを設置した際に、お土産として配ったということらしいのですが、本当かどうか、定かではありません。