ハンゲショウ(半夏生)

ドクダミ科|ハンゲショウ属
ハンゲショウ
撮影日:2003年7月19日|場所:千葉県房総のむら
遠目には、消毒液がかかった草か、鳥の糞が付いた草のように見えるのが、このハンゲショウ。昔は山や沼の近くの湿地でよく見かけた野草ですが、最近はあまり見なくなりました。
名前の由来は、半夏生(七十二候の一つで、本来は夏至後 10日目から小暑の前日までをいいましたが、現行暦では太陽の黄経が 100°に達する日 -7月1日か2日-をいいます)の頃に花を咲かせるから「半夏生」、という説と、葉の半分近くが白くなって化粧をしているように見えるため「半化粧」という説があるようです。
個人的には「半夏生」の方が趣きがあって好きですが、どちらかといえば「半化粧」が正解なのではないでしょうかね。
このハンゲショウの葉は、花の咲く夏至の頃になると目立ってくるのですが、それは、長さ10〜15cmほどの穂状花序を葉の付け根につけるため、その付け根の葉が花びらの役目を果たすため白く変化するからなのだそうです。
ハンゲショウ
▲湿地に群生するハンゲショウ。
ハンゲショウ
▲葉が花びらの役目をするため白く変化。
写真をよく見ると、確かに花序が付いている葉は白くなっていて、花序がない葉は緑色です。
花が咲く前や花の終わった後は、白い葉はなくなって、ふつうの大きな山野草にしか見えないので、ハンゲショウがあるとは気がつかずに通り過ぎてしまいます。

ハンゲショウ・メモ

■ハンゲショウの特徴

ハンゲショウは半化粧とも書き、ドクダミ科の多年性落葉草本植物で、日本の本州以南から東アジアの亜熱帯性湿地に分布します。

丈は50〜100cmと大きく、葉は5〜15cmほどでハート型の細長い形で、見た目はドクダミを緑色にしたような雰囲気です。
夏至の頃に、葉の根元から白い穂状花序を出し、垂れ下がりながら10〜15cmほどに成長します。
花序の成長につれて根元の葉は白くなり、花びらの役目を担います。古くは、葉の片面(表面)だけが白くなることからカタシログサ(片白草)とも呼ばれたそうです。

ハンゲショウ
▲花の終わりごろ、花穂が直立し、葉の白さが薄れています。

花穂には、花弁の無い小さな花が多数つき、下から開花して垂れていた花穂が直立していきます。
日本では、最近は湿地が減って生育場所がなくなってきたため、絶滅危惧種に指定している県もあるようです。

■ハンゲショウ豆知識

●ハンゲショウに薬効?
ハンゲショウは、昔から薬草として知られていたようです。
乾燥した葉を煎じて、飲むと利尿の効果があり、また、生の葉をすりつぶしたものを、腫れたところに塗ると炎症を抑える作用があるということです。
そういえば、花の時期にハンゲショウの近くに行くと、ドクダミに似た独特の匂いがします。