ガガイモ(蘿摩)

ガガイモ科|ガガイモ属
ガガイモ
撮影日:2003年8月13日|場所:山形県酒田市
どこかで見ているけど何と言う花だったかなあ、といった感じのよく見る花です。クズやヘクソカズラのように、夏になると藪とか植え込みなどに覆いかぶさるようにして繁殖するつる性の多年草です。
日本全国に分布し、古代からある野草で、古事記や日本書紀といった神話にも登場する数少ない野草の一つだそうです。
直径1cmほどと小さな花ですが、花弁が分厚く、表面には毛が密生していて、見るからに、ちょっといわくのありそうな古代の花といった風情です。
また、花の中心部をよく見ると、柱頭がひょろひょろと長く伸び、その基部を覆うように副花冠が取り巻いています。この辺の感じも独特の個性で変わっています。
ガガイモ
▲弦を伸ばして藪の草を覆うように繁殖。
ガガイモ
▲葉の付け根から花序を出し十数個の花を付ける。
Wikipediaによれば、名前の由来は、古名をカガミまたはカガミグサととも言って夏の季語にもなっているということで、そこから変化してガガイモになったようなのですが、諸説あってはっきりしないようです。
「イモ」というのは、いわゆる芋ではなく実の形が芋(サツマイモ)に似ていることからきた、という説もあるとか。 種子は扁平で毛があり風で散布されるようですが、謎のの生物ケサランパサランの正体は、このガガイモの種子だという説もあるようですよ!調べれば調べるほど不思議な花です。

ガガイモ・メモ

■ガガイモの特徴

古代から日本全国に分布するつる性多年草。地下茎を長く伸ばして増え、夏にかけて蔓を伸ばして勢力を拡大します。
7〜8月頃、葉の付け根から花序を伸ばし、その先に十数個の薄紫から白い花を付けます。花は、直径1cmほど、星型に5裂し、内側には長い毛が密生しています。

ガガイモ
▲長い毛が密生した分厚い花びら。花の中央の柱頭が長く伸びているのがわかります。
ガガイモ
▲葉は先のとがった心形で、長い葉柄を持ち対生します。

茎は切ると白い乳液を出します。葉は、長さ5〜10cm、幅3〜6cmの細長い先のとがった心形です。
果実は長さ約10cm、幅約2cmの細長いサツマイモのような形をしていて、表面にはイボ状の突起があります。
熟すと果実は割れて、綿毛をつけた扁平な種子を、風に乗せて飛ばします。

■ガガイモ豆知識

●種子は滋養強壮の生薬
ガガイモにはさまざまな薬効があり、漢方では果実を乾燥したものを羅摩子(らまし)といい滋養強壮の生薬として、また、生の茎葉は解毒、腫れ物に、茎葉から出る白い汁は、イボやヘビ、虫刺されに、種子の白毛は、切り傷の止血になるということです。
漢方薬ではありませんが、昔は、種子の綿毛は朱肉に用いられたといった話もあります。