ミゾカクシ(溝隠)

キキョウ科|ミゾカクシ属
ミゾカクシ
撮影日:2003年8月13日|場所:山形県酒田市
私は山形県の米どころ庄内地方で子供時代をすごしていましたが、この奇妙な花は、一度も見たことがありませんでした。 2003年の8月、ちょうどお盆の日に、方言のことでネットで知り合った酒田の方と会うことになって、酒田市の土門拳記念館で待ち合わせたのですが、約束の時間よりも早く着いてしまったので、池の周りを散策していると、その池の周りの湿った一角に、この花はあったのです。 ずいぶん変わった花だとは思いましたが、時間があまりなかったこともあり数枚の写真を撮って、そのまま、忘れていました。この花との最初の出会いです。
同じ年の10月、野草を探しながら千葉県八千代市の田んぼのあぜ道を歩いていたとき、足元の草むらに白っぽい小さな花を見つけ目を近づけてみると、この花だったのです。これがこの花との二度目の出会いでした。 あとで調べてわかったのですが、この花は「ミゾカクシ(溝隠)」といって、田んぼのあぜ道などに普通に生えている花だというのです。それにしては、野草に興味を持つようになってからもその後、一度も出会ったことがありません。 私にとっては貴重な花であり、貴重な写真だったのです。あまりにも写真の撮り方が雑だったと反省しています。
ミゾカクシ
▲これは千葉県八千代市で撮影したもの。
ミゾカクシ
▲これも八千代市で撮影。群生していました。
一見、キクのような花の花びらが半分落ちてしまったかのように見えますが、よく見ればそうではなく、これでちゃんとした一つの花なのです。 どうしてこんな奇妙な形をしているのかはわかりませんが、これでもキキョウ科だということです。 ミゾカクシの名前の由来は、田んぼの畦や溝を覆い隠すように繁殖することからきたもので、別名アゼムシロ(畦蓆)。とにかく繁殖力の強い雑草のようです。 雄しべと雌しべの形や受粉の方法なども非常に変わっているらしいのですが、残念ながらそれを説明する写真が手元にまったくありません。 もしどこかで出会ったら、雄しべや雌しべのアップ写真もお忘れなく!とにかく変わっています。

ミゾカクシ・メモ

■ミゾカクシの特徴

ミゾカクシ
▲花を正面から見たところ。

日本全国の稲作が行われる地域や中国、インド、マレーシアなどに分布。田んぼの畦や溝など、湿った場所に生える多年草です。

茎は細く横に這い、節ごとに葉をつけ根を下ろして繁殖し群生する。
葉は細長く、長さ1〜2cmほどで互生。縁はわずかに鋸刃状で葉脈は目立たずのっぺりしています。
花は、6〜9月頃に咲き、直径1〜1.5cmほど。花びらは5弁で、中央に3弁、左右に各1弁ずつに分かれ、色は外側に向かって白から薄紫のグラデーションになっています。

ミゾカクシ
▲黄緑色ののっぺりした葉なのでわかりやすく見つけやすい。

受粉の仕組みはよくわからないので、他のサイトから丸写しすると
「雄しべは葯が合着して花柱を取り囲み、ヘビが鎌首をもたげたように見える。雄しべが花粉をだしてから、雌しべの柱頭が顔をだす。」ということです。
どうも雄花期と雌花期があるようです。

■ミゾカクシ豆知識

●通販で売っている?
最近は、「ロベリア」という名前で通販でも売っているというようなことが、ネットに出ていたので調べてみるとありました。
というか、私が想像していたものとはまったく異なり、紫や真っ赤で美しい、園芸用の花で、どこがミゾカクシなのか私にはまったくわかりませんでした。