イヌゴマ(犬胡麻)

シソ科|イヌゴマ属
イヌゴマ
撮影日:2003年8月14日|場所:山形県鶴岡市羽黒町・羽黒山
この花は、30〜40年前、渓流釣りをやっていた頃は、山沿いの田んぼの用水路とか沼の周辺の湿地などでよく見かけたものですが、最近はまったく見たことがありません。
この写真は2003年のお盆、家族と羽黒山に行ったときに、ジュンサイ池の周りの湿地で撮影したものです。おそらくこれがイヌゴマを見た最後です。
田んぼの用水路はコンクリートで固められ、池や沼などもきれいに護岸されて湿地が少なくなったことから、こうした湿生植物も急激に減ってしまったようです。
イヌゴマは、高さ40〜70cmほどの湿性の多年草で、7〜8月頃に淡い赤紫の花を数段、輪生状に付けます。 この写真を撮った場所には、あまり背が高くない数本の株しか見当たりませんでしたが、湿った草地などに群生していることが多く、白っぽい花がよく目立ちます。
イヌゴマ
▲淡い赤紫の唇形の花を輪生状に多数付ける。
イヌゴマ
▲全体の様子。
名前の由来は、姿かたちはゴマに似ているのに役に立たない、ということからきているようです。
大体、野草で「イヌ」と付いているものは、イメージが悪いと決まっているようですが、そんなことはなくとてもきれいな花です。
別名チョロギダマシ。これもおせち料理に使われるチョロギに似ていることから名づけられたもののようですが、ちょっとかわいそう。

イヌゴマ・メモ

■イヌゴマの特徴

日本全国の湿地に生える多年草。
茎は四角形で稜上には下向きの細かなトゲがあり、直立して背丈は40〜70cm。
葉は、長さ4〜5cm、細長い広披針形で丸みを帯びた浅い鋸歯。
花は、輪生し茎の先に段状に数段付けます。シソ科特有の唇形で長さ12〜15mm、同じ仲間の花と比べると大きく見栄えがします。下唇は浅く三裂し、左右に比べ中央の花びらは広く発達し、赤紫の斑点があります。

イヌゴマ
▲下唇が広く発達している。