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●アキグミ-202.09.23
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ホオズキ
02.09.23
先日、姪の結婚式で庄内に行った。しばらく帰っていなかったので、墓参りの帰りに今は誰もいない実家に寄ってみた。 村の人が交代で掃除をしているということで、表からはあまり変わったようには見えなかったが、庭に回るとそこは荒れ果てていて、池の水は枯れ剪定した松の枝が捨てられていた。池の横にはホオズキが赤い実をたわわにつけていた。

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イメージ
▲池の横のホオズキ(2002.09.15撮)。誰も採る人はいない

私はホオズキが鳴らせなかった。兄たちは器用に中の種を取り出し、ビュービューと鳴らしていたが、私は種を上手に取り出すこともできなかった。ホオズキの実を手で何度もやさしく揉みほぐし、中の種を分離させてから、ホオズキの殻をそっと引っ張って芯を抜く。揉み方が足りないと、芯を抜く時に皮を破いてしまう。少しでも破いてしまったら、鳴らすことはできない。それから、中の種を一つづつ芯を抜いた小さな穴から取り出す。根気がいるのだ。
芯がきれいに抜けると気持ちがいい。とれたよ!と大声で兄たちに知らせる。それから、傍の小川に行って、中の種を洗いながら取り出す。口にくわえると苦い味がする。
池の前の縁側に腰をかけて、足をぶらぶらさせながらビュービューと鳴らす。私が鳴らすとプチュプチュ、スースーいうだけ、兄に何度も教わるのだがとうとう最後まで鳴らすことができなかった。たぶん今でも鳴らせないと思う。
小学3年の頃だと思う。近所の同級生の子と縁側でホオズキを鳴らして遊んでいた。その友だちの弟「K」がきて(たしかまだ学校に入っていなかったと思う)、ホオズキをくれという。私はちょっといじわるをして、だめだといって喧嘩になった。Kは泣きながら帰ったのだが、その後、友だちと庭の銀杏の木に作ったブランコで遊んでいると、Kがまたやってきて、いきなり包丁で私の額を斬り付けたのだ。血がどっと吹き出し、顔中血だらけになるのが分かった。Kは包丁を持ったまま仁王立ちになっている。
友だちは、「Kがアモちゃんを殺した!」と叫びながら家に飛んで帰り、母親を連れてきた。友だちの母親はオキシフルという消毒薬を持ってきて、「ごめの、ごめの」と何度もいいながら、傷口を洗ってくれた。ちょうど骨のところだったのと、子供なので力がなかったため、たいしたことにはならなかったが、しばらく早乙女主水之介(額に三日月型の刀傷がある侍、当時映画が流行っていた)とからかわれていた。

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その時の傷は今でも額の中央に残っている。
かつての我が家の、ホオズキがひっそりと赤い実をつけている庭を眺めながら、そんなことを思い出していた。