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クルミ
02.09.28
今回の帰省で思い出したのだが、昔、家の裏庭に大きなクルミの木があった。

クルミといえばお寺の精進料理で、子供の頃、村の集会などがあると、大量のクルミの実を剥かされたものである。
まず、あられなどを煎る金網の篭にクルミをいれ、炭火でよく煎る。クルミの口が少し開くので、そこに包丁を入れ、クルミを割る。キリや千枚通しで中の実を取り出し、すり鉢に入れてする、といった作業である。
私はこの仕事が好きで、兄弟誰もが嫌がるのに、進んでやったものである。クルミを割る時の快感、実がきれいに取れた時の満足感、取り出した実が少しずつではあるが増えていく達成感、すり鉢ですっている時の香ばしい匂い!
クルミとは、子供の頃からこうした深いつきあいがある。

クルミといえばもう一つ、この昔話。
寝る前に、祖父や父に昔話を聞くのが楽しみで、
「むがし、語ってくれ」
とせがんだものだ。同じ話を何度も何度も聞いたりするのだが、そのうちに、話し手もいやになってくる。そして最後に出てくるのがこの話なのだ。
同じような話はどこにでもある。

◆  ◆  ◆
イメージ
▲裏庭のうろこ雲と、まるで音符のような雀たち♪♪のどかだな〜

昔むがし、あったけど、の。
大っきな河がどど〜って流れでいでの、
そのそばさ大っきクルミの木あったけど。
それはそれは大っき木での、おら家なの、スポっと隠れでしまうほどだけど。
そのクルミの木さはよ、枝が折れるほど、実がえっぺ(たくさん)成っての、
誰も数なの数えらえねほどえっぺだけどや。
秋になっての、ある日よ、風がゴオ〜って吹いできたば、
クルミの実が一つ、ポトンって河さ落ぢでの、
くるっと回ってサンドロ〜って流れでいたけどや。
したば、まだ風がゴオ〜って吹いできて、
クルミの実が一つ、ポトンって河さ落ぢで、
くるっと回ってサンドロ〜って流れでいたけど、の。
したば、まだ風がゴオ〜って吹いできての、
クルミの実が一つ、ポトンって河さ落ぢで、
くるっと回ってサンドロ〜って流れでいたけど。
したば、まだ風がゴオ〜って……

「じじちゃや、このむがしだば、いづ終わるや」
「いづ終わるがの〜。したてよ、クルミの木は大っきし、実はえっぺ成っていっさげの〜」
「んだが」

したば、まだ風がゴオ〜って吹いできての、
クルミの実が一つ、ポトンって河さ落ぢで、
くるっと回ってサンドロ〜って流れでいたけど。
したば、まだ風がゴオ〜って吹いできての、
クルミの実が一つ、ポトンって河さ落ぢで、
くるっと回ってサンドロ〜って流れでいたけど。
したば、まだ風がゴオ〜って……

「じじちゃや、あどトンピンカラリだろや」
「やや、まだまだ終わらねぞ、実はえっぺ成っていっさげの〜」

まだ風がゴオ〜って吹いできての……
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えんえんと続く昔話をじっと聞いているのだが、そのうちに眠ってしまう。

◆  ◆  ◆

この話は、別にドングリでも、栗でも、栃の実でもいいのだが、私の家ではなぜかクルミだった。
家の裏庭には、昔、大きなクルミの木があって、横には小さな川が流れていた。